📌 はじめに:どちらに行くか迷う人へ
広告業界を目指す方からよく聞かれる質問のひとつが、「総合広告代理店とWEB専業代理店どちらにいくのが良いですか?どうせなら総合の方が全部できるからそっちの方が良いのですか?」というものです。
私自身、WEB専業代理店からキャリアをスタートし、のちに総合広告代理店へ出向しました。
両方の現場を経験して強く感じたのは、「どちらが上というよりも、何がしたいかでキャリアが変わる」ということです。安易に総合なら全部扱えるからそちらで、というのはキャリアの幅を狭くする事に繋がると思いますので、推奨しません。
この記事では、私が実際に体験した働き方・案件の進め方・文化の違い・キャリアへの影響をリアルにお伝えできたらと思っています。
💼 案件規模・体制の違い
結論としては、日本の広告費を見ても分かるように総合だから、WEB専業だからで案件規模の違いはそこまで起きません。総合で丸っと全てのマス〜WEBメディアを管轄となれば必然と全体規模は大きくなりますが、WEBのみでも年間100億円を超えてくるような規模も出てきているので、その点では変わらないです。 私が出向していた代理店では、全体予算で年間数千万〜40億円ほど、WEBだけでも年間数千万〜10億円規模の案件を担当していました。(どちらかというとCM偏重の代理店だったため、WEBは少ないというケースが多かったです。逆に数千万ほどの規模だとそのままWEB広告のみを担当している、というケースも多いです。)
代理店の体制はデジタル担当が2〜3名、全体体制だと6名〜多いと数えきれないほどのメンバーが関わることもありました。(大きなコンペ案件などだと営業3名+ストプラ2〜3名+デジタル3名+クリエイティブ3名〜と行った形で私も把握できないポジションメンバーが増えていっていました。)
一方、WEB専業代理店時代は、年間150万円〜数千万円規模の案件を複数社同時に担当していました。
ただし、これはあくまで私が担当してきた案件がそうなっているというだけで、WEB専業だから案件規模が小さい・総合だから大きいというよりも、「関わる案件次第」という印象です。(隣の部署ではデジタル年間50億とかも聞いていたので、本当に案件次第です。)
大きな違いとしては総合はマス広告を軸にした認知中心のコミュニケーション設計、WEB専業はWEB広告を中心とした獲得型中心のコミュニケーション設計が多く、戦略の出発点そのものが異なる事が多いとは感じました。
また、総合広告代理店では各媒体担当・クリエイティブ・営業・PRがそれぞれ分業体制で動き、複数の部署をまたぐ調整が日常的に発生します。(営業はこの調整でほとんどの時間を使っていた印象です。)
もちろんWEB専業も案件規模が大きくなれば上記のような動きが近くなりますが、どこまでいってもWEBに閉じる事がほとんどのため、総合ほど調整でしんどい、という事はないです。
(厳密には直近は大手WEB専業になるとマスも求められ始めているので、本当に違いは減ってきているなと感じます。)
🏢 出向時の立場と感じた壁
私はWEBのメディアプランナーとして総合広告代理店に出向していました。
営業は別におり、私は純粋にデジタル領域の企画・実行を担っていました。
総合代理店側との関係性は出向先によって大きく異なり、もともと関係性が深いところでは「同じチームの一員」として迎え入れてもらえる一方、
新しく関わる出向先では、こちらから積極的にコミュニケーションを取って信頼を積み重ねていく必要はありました。(出向経験も1社だけではなかったです。)
印象的だったのは、「総合は認知からコミュニケーションが始まり、WEB専業は獲得から始まる」という価値観の違いです。
いまだに総合代理店の現場ではテレビCM中心の文化が強く、デジタル予算が“補完的”に扱われる場面も少なくありません。
ただ一方で、企画力やストーリー設計など、数値化できない領域の強さは総合代理店の大きな魅力です。(まだまだ数値で語りづらいところがあるのもこの業界の特徴なので、昔ながらの感覚的な攻め方はとてもうまいと思います。)
WEB専業では、CPAや売上といった成果面でのリアルな数字に基づいた議論が主流であり、「どの施策がどの数値にどう影響したか」を追うことに長けています。
一方で、すぐに売上に繋がらないようなブランド施策や上流企画は苦手な傾向があり、この点で総合との役割の違いを強く感じました。
この違いはWEBメディアは出てきた当初からCV測定を含めた効果測定ができる(しやすい)という特徴があった事でできた文化の差なのではないかなと思っています。
⚡ スピード感と進行の違い
よく「WEB専業はスピードが速く、総合は遅い」と言われますが、私の実感では会社や案件次第だなと思っています。
むしろスピードは「関係者の多さ」や「決裁プロセスの長さ」によって変わるため、業態の違いでは一概に語れない印象です。
WEB専業でも大手クライアント案件になれば調整は多くなりますし、総合でもデジタル部門は即日対応を求められるケースもあります。
そのため、転職や就職の際は「どんな規模感・どんなクライアントと付き合っている会社なのか」を確認しておくことが重要です。
例えば、総合代理店でもWEBのみしか扱いをもらえていない、という事もあるのでその場合はWEB専業と同じスピード感での実施にもなると思います。
📈 キャリアと市場価値の違い
WEB専業から総合に出向した際も、業務内容自体はWEB領域中心だったため、大きな差は感じませんでした。
市場価値という観点でも、「どちらが高い」というよりキャリアの方向性が異なるというのが正直な感覚です。
WEB専業出身者は、GAFA、YahooやBytedanceなどのメディア企業・プラットフォーマーへの転職をしやすい傾向があり、総合出身者はブランドマーケティングやPR寄りの領域に進む傾向があります。
また、総合ではより多くの部署と連携する分、コミュニケーション能力や組織マネジメントスキルが磨かれます。
一方WEB専業では、業界として伸びているWEB広告に特化した専門性・数値で出やすい分成果責任の重さを肌で感じながら成長できます。
🌏 文化と働き方の違い
総合は比較的年齢層が高く、チャットだけでなくメール文化や会議文化が根強く残っています。
WEB専業は若手中心で、Slackなどのチャットで完結できるコミュニケーションの効率差はあります。会議によって仕事を進めていく、というのはWEB側でもどうしてもある点でした。
総合では多様なステークホルダーを巻き込む力が必要で、社会人としてのマナーやプレゼンスキルは確実に磨かれる印象です。
一方でWEB専業は、業界として伸びているWEB広告に対して専門的な知見を得る事ができ、総合では得られない知見の量は確実に入ります。
どちらにも明確な強みがあり、「人の成長ポイントが違う」と感じます。
✅ まとめ:キャリア軸で選ぶのが正解
総じていえるのは、仕事の仕方自体は総合だから・WEB専業だからという差はあまりなかったということです。
そのため商材としてテレビCMなどのマスを扱っていき、浅く広くの知見を得たいなら総合を、伸びているWEB広告業界で専門的なスキルを磨きたいならWEB専業を選ぶのが良いと思います。
ただ、もし私が20代に戻るなら、まずはWEB専業を選びます。理由はWEB広告業界が今も成長を続けており、専門性を高められる環境だからです。その専門性からキャリアの幅広さはWEB代理店の方が大きいように感じます。
もしこの記事を見てWEB専業に行きたいと思った方は、営業と運用の両方を理解しながら、WEBの専門性と総合的な視点をバランスよく持てることが、今後の広告代理店キャリアでは一番の強みになると感じていますので下記記事も閲覧してみてください。


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