📌 はじめに:出向を経験した私の結論
広告代理店で働いていると、ある日突然「出向」の辞令が下ることがあります。
「出向って何をするの?」「キャリア的にプラスなの?マイナスなの?」「激務で大変なんじゃ」と不安を抱える人も多いはずです。
私はWEB専業代理店からキャリアをスタートし、その後総合広告代理店へ出向する経験をしました。
そこで感じたのは、出向は大変さもある一方で、視野を広げる大きなチャンスになるということです。
この記事では、私が実際に経験した「代理店出向」のリアルをお伝えしながら、キャリアにどう影響するのかを紹介していきます。
(大手代理店などでは事業主への出向もあると思いますが、それとは別のためご注意ください。)
🏢 広告代理店における「出向」とは?
私が経験した出向
所属している会社から他の企業(総合代理店や事業会社など)に一定期間派遣され、その企業の業務を実際に担当する働き方を指します。
多くの場合は大手総合代理店やナショナルクライアント先での業務が中心です。
私の場合は2社の総合代理店に計3年間出向しておりました。
出向が発生する背景
- 総合広告代理店が案件全体を握っており、WEB専業はサポートとして人材を送り込む
- 事業会社が直接知見を得たいと考え、代理店から人材を受け入れる
- 大規模案件やチーム体制強化のため、外部の力を活用する
私自身も、2社目で大規模案件に携わる中で「総合広告代理店への出向」を経験しました。
その際は代理店により事情は異なりますが、多くの総合広告代理店もWEB広告に関する提案を得意先から求められ始めている背景があり、フロント人材確保をいち早くする方法として呼ばれていました。
💼 出向先での仕事内容
総合代理店での業務
出向先では、TV・新聞・PRなどを扱う総合代理店の中でWEB担当として動きました。
主な業務は以下の通りです。
- 総合代理店の営業・自社のメディア担当との折衝
- 運用担当から上がってくるレポートの取りまとめ
- 事業主への説明資料作成や調整業務
基本的には総合側にも今の時代はデジタル部などがあるのでその一員として動く+自社の営業としても動くという形です。
苦労したポイント
特に驚いたのは、総合代理店はまだまだTV偏重という点です。
電通の「日本の広告費」でもインターネット広告費がマスを抜いたと発表されていますが、現場では「まずはTVで枠を抑える」という空気が根強く残っていました。
WEB業界に入った理由が業界の成長具合だった私にとってはWEBの扱いのひどさにとても驚きました。
ちなみに総合代理店側からはWEB広告は基本嫌われがちです。
ネット情報との乖離があると思った方もいるかもしれませんが、理由としては大きく2つあります。
- TVと違って手離れが悪いため、代理店目線の費用対効果で考えると悪いからです。
TVは枠を抑えて終了のため、営業としては取れさえすれば一安心ですが、WEB広告は知らない間の媒体アップデートで広告の出方が変わっていて得意先と揉めたり、管理画面上では配信オンになっていてもインプレッションが出てない(広告が出ていない)と予期しずらい事象も多いのでスタートしてからも担当によっては心が休まらない、という声も多々ありました。 - 基本挟む会社が多くなるため手数料が安くなるからです。
TVなどの場合は基本的に総合+メディアという枠組みですが、WEB広告の場合は総合+WEB専業+メディア、という形で1社多くなります。
その結果どうしても総合代理店側からすると低い手数料となってしまう構造があり、それであればTVにしたい、という感情になってしまうのです。
(代理店もボランティア活動ではなく、営利企業な以上仕方はないと思っています。)
🚀 出向を経験して得られたこと
説明力・段取り力の向上
総合代理店の会議では、年次も役職も関係なく調整を求められます。
WEBの専門性を理解していない人に説明する場面も多く、「なぜこの施策が必要か」を言語化して合意形成する力が鍛えられました。
広告の全体像を学べる
WEB専業ではデジタルに特化した知見が溜まりますが、総合広告代理店に出向することで、TV・OOH・PRを含む全体設計を肌で感じられました。
この経験は「デジタルだけに閉じないプランニング力」を磨くきっかけになりました。
実際専業はCPAなどの数値が見えすぎるがゆえにありきたりな提案ばかりになってしまう、というケースも多々あるので、より全体像をはっきりさせた提案をするという意味ではとても学べる事が大きかったです。
⚖️ 出向のメリットとデメリット
メリット
- 大規模案件に携われるチャンスが増える
- 調整力・説明力など、営業スキルが強化される
- 広告の全体像を学べる
- より上流の仕事を学べ、スキルを伸ばせる
デメリット
- WEB専業ほど運用の実務スキルは磨かれない
- より広い業務を対応しなければならないので、激務にはなりやすい
- 自社の人たちとの関係性が希薄になる
🎯 出向はキャリアにどう影響するか?
私自身、出向経験を経て「キャリアの幅は伸ばせた」と思えました。
一方で、実際の広告運用に直接携わる機会は減ったため、「運用スキルを伸ばす場」ではなかったというのが正直な感想です。
ただし、広告代理店でキャリアを積む上では「出向」を経験できたことが、結果的に市場価値を高めることにつながったと感じています。
特に出向をしているメンバーの方がその後のキャリアの選択肢は多かったと思います。
💡 20代でキャリアを考える人へのアドバイス
- 出向はネガティブにとらえず、「キャリアの幅を広げるチャンス」と考える
- ただし運用スキルを高めたい人にとっては遠回りになる場合もある
- 特に20代のうちに出向を経験すると、業界全体を俯瞰できるようになり、将来のキャリアの選択肢が広がります。
✅ まとめ:出向はキャリアを広げる「武者修行」
広告代理店の出向は、環境の変化やカルチャーのギャップもあり大変です。
しかし、そこで得られる人脈や説明力、全体設計の視点は、長期的に見て大きな資産になります。
営業・運用の経験に加えて「出向」という選択肢を持つことで、広告代理店でのキャリアはさらに厚みを増します。
❓ よくある質問(FAQ)
- 出向はキャリア的にプラスですか?
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基本はプラスになると考えて良いと思います。ただし、より上流の仕事に対し他社の人間として出向をしていくので精神的にはつらい事もあると思います。
結果的に休職などに入ってしまうならマイナスのため、自分が入ろうとする会社には出向があるのかは事前に確認しておきましょう。 - 出向期間はどのくらいですか?
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半年〜数年までさまざまです。案件規模やクライアント状況によって変わります。
- 出向経験は転職に有利ですか?
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総合代理店やナショナルクライアントと仕事をした経験は評価されやすいです。
ただし実務スキルを問われる職種(運用者など)ではそこまで強いアピールにはならない可能性もあります。
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